緑茶

【玉露】京都府のブランド緑茶『宇治茶』の特徴を解説【新茶】

京都の「宇治茶」といえば、「静岡の静岡茶」や「埼玉の狭山茶」と並んで、日本三大銘茶とも呼ばれています。

近年では日本国内だけでなく、海外からの旅行者のお土産としても緑茶は大人気です。

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特に「福寿園」や「祇園辻利」といったブランド名は、誰でも一度は聞いたことがあると思います。

実は、宇治茶のブランドは厳格な審査によって決められています。

今回の記事は、次のようなことを知りたい方に向けた内容になっています。

【この記事はこんな人向け】

  1. 宇治茶の歴史を知りたい
  2. 宇治茶の味や特徴、ブランドを教えてほしい

この記事を読んで、宇治茶の魅力や素晴らしさを感じていただけると嬉しいです。

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宇治茶とは

宇治茶の歴史

お茶の文化は、奈良・平安時代に仏教修行の僧侶たちによって中国から伝わってきました。

その後、鎌倉時代初期には、臨済宗(りんざいしゅう)の開祖である「栄西(えいさい)」が、中国の宋(そう)からお茶の種を持ち帰り、華厳宗(けごんしゅう)の僧侶「明恵(みょうえ)」に送りました。

ぺんりる
ぺんりる
明恵は栄西の弟子にあたる人だよ

明恵は栄西から送られてきたお茶の種を、京都北部の栂尾(とがのお)にある高山寺に植えました。

これが日本最古の茶園であり、宇治に茶園も広めたとも明恵だといわれています。

ぺんりる
ぺんりる
日本最古の茶園が高山寺なんだね

室町時代に入ると、もともとお茶の栽培に適した気候である宇治では生産量が増えていき、室町幕府からのバックアップもあって、宇治茶のブランドが確立されていきます。

さらに時は流れて1738年になると、宇治茶の産地である宇治田原の茶農家「永谷宗円(ながたにそうえん)」宇治製法という煎茶の製法を考案しました。

ぺんりる
ぺんりる
宇治製法は京都府の「無形民族文化財」にも指定されているよ

宇治製法(宇治茶手もみ製茶技術)は、今でこそ一般的な製法ですが当時は画期的で、このことから永谷宗円は「日本煎茶の祖」とも呼ばれています。

宇治茶の特徴

宇治茶の特徴は、なんといってもその豊かな香りです。

香りの良さは、宇治茶と同じく日本三大銘茶と呼ばれている狭山茶の歌にも歌われるほどです。

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これは、宇治茶の産地である京都や宇治田原周辺が、お茶の栽培に適した気候であることが挙げられます。

お茶の栽培に適した気候は年間雨量1,300㎜以上、年間の平均気温が14〜16℃といわれていて、この条件は京都や宇治田原周辺の気候とぴったり一致します。

ぺんりる
ぺんりる
京都の気候はお茶を栽培するのにぴったりなんだね!

また、宇治田原で誕生した「宇治製法」は茶葉の新芽だけを使い、蒸した茶葉を乾燥させながら揉んで仕上げる製法です。

宇治製法によって、色・香り・味のすべてにおいて質の高い煎茶を作れるようになり、私たちが日常的に飲んでいる煎茶の作り方のベースになりました。

ぺんりる
ぺんりる
宇治製法は煎茶作りの基礎になったんだね

宇治茶の新茶の時期はおおよそ4月下旬〜5月上旬ごろで、二番茶は6月中旬〜7月上旬、三番茶は7月中旬〜8月下旬ごろに収穫されます。

玉露は宇治で誕生した

日本の製茶の最高峰ともいわれる「玉露」も、宇治で誕生しました。

玉露は、お茶の木を布でかぶせて太陽の光を遮る「被覆栽培」という方法で作られます。

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被覆栽培をすることで、茶葉の光合成が抑制され緑茶のうまみ成分である「テアニン」を多く含んだ茶葉ができます。

玉露が誕生する前から被覆栽培は行われていましたが、それはもっぱら抹茶の原料になる碾茶(てんちゃ)の栽培にのみ使われていました。

ぺんりる
ぺんりる
抹茶の製法を玉露に応用したんだね

この「被覆栽培」と宇治田原の「宇治製法」を掛け合わせることで、宇治茶の代名詞でもある玉露が誕生したのです。

宇治茶の味

宇治茶の味の特徴として、口にふくんだ瞬間に少し渋みがあり、そのあとに豊潤な甘さとコクを強く感じます。

ほかの産地のお茶と比べると、茶葉の色がやや黄色みをおびているのも宇治茶の特徴です。

ぺんりる
ぺんりる
上質なお茶は、茶葉が針のようにピンとなるよ

また代表的な宇治茶は、製茶の工程である蒸しの時間が短い「浅蒸し茶」が多く、お茶の水色(すいしょく)は明るくて澄んでいます。

蒸し時間が長くスッキリとしてライトな味わいが特徴の「深蒸し茶」とは対照的に、宇治茶はお茶本来の渋みや甘味を強く感じるお茶です。

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宇治茶のブランド

宇治茶は、京都や宇治田原周辺で生産・加工されるお茶を指しますが、どんなお茶でも宇治茶と名乗れるわけではありません。

2004年に「公益社団法人京都府茶業会議所」が、次のように宇治茶の定義を決めました。

宇治茶は、歴史・文化・地理・気象等総合的な検知に鑑み、宇治茶として、ともに発展してきた当該産地である京都・奈良・滋賀・三重の四府県産茶で、京都府内業者が府内で仕上加工したものである。ただし、京都府産を優先するものとする。

要約すると、宇治茶を名乗るためには以下の3つの条件が必要です。

  1. 京都・奈良・滋賀・三重で栽培された茶葉であること
  2. 京都府内で製造・加工されたものであること
  3. 京都府産の茶葉を優先すること

このような伝統を重んじることによって、現在に至る宇治茶ブランドを確立するに至っています。

福寿園

福寿園は、寛政2年(1790年)に誕生した宇治茶の老舗です。

創業者である福井伊右衛門は茶商を行っていて、明治になると日本茶は生糸ともに輸出の花形産業となり、福寿園は大きく発展していきました。

ぺんりる
ぺんりる
このころから日本茶は輸出されていたんだね

ちなみに、サントリーから販売されている緑茶「伊右衛門」は、創業者の福井伊右衛門の名前からとっています。

福寿園はもともと貿易を行っていた会社なので、取り扱っているのは日本茶だけではなく、茶器や茶道具、紅茶なども販売しています。

また、木津川市にある「福寿円CHA遊学パーク」では、茶園の見学や茶葉の研究なども行っています。

祇園辻利

蔓延元年(1860年)に「辻利右衛門」が創業した、お茶の老舗です。

1860年は幕末の真っ只中で、宇治の茶園は幕府からのバックアップを失い、荒廃の一途をたどっていました。

ぺんりる
ぺんりる
幕府は動乱の対応で手一杯になっちゃったんだ

創業者の辻利右衛門は、保存性の高い茶櫃(ちゃびつ)を考案しお茶を販売するとともに、玉露の茶葉を針状に仕上げる「玉露製法」を確立し宇治茶を復興させました。

数百種類の茶葉の中から「合組」と呼ばれる調合を行うことで、宇治茶特有の深い甘味とコクを作り上げています。

また、1978年には「茶寮都路里」が誕生し、抹茶を使ったパフェやゼリーなども人気です。

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宇治茶の美味しい入れ方

宇治茶に限らずですが、緑茶を水道水で入れるときはカルキ抜きが特に重要です。

まずは水道水を5分ほど沸騰させてカルキを抜きましょう。

【玉露の入れ方】

  1. 茶葉(一人前約3g)を急須に入れる
  2. 60℃程度に冷ましたお湯を急須に注ぐ
  3. 3分程度蒸らした後、茶碗に注ぐ

【煎茶の入れ方】

  1. 茶葉(一人前約3g)を急須に入れる
  2. 70〜80℃程度のお湯を急須に注ぐ
  3. 1〜2分程度蒸らした後、茶碗に注ぐ

「玉露」と「煎茶」で入れ方がそれぞれ異なりますのでお気をつけください。

玉露はぬるま湯で長く蒸らし煎茶は熱めのお湯で軽く蒸らすのがポイントです。

また、急須のお茶は最後の一滴まで出し切るのが大切です

お茶は最後の一滴に旨味が凝縮していて、お茶の味は最後の一滴で決まるともいわれています。

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まとめ

最後に、宇治茶のポイントをまとめます。

要点まとめ

宇治茶は鎌倉時代から作られていた
京都の高山寺は日本最古の茶園といわれている

玉露は宇治で誕生した
豊かな甘みとコクが特徴の玉露は、宇治でその栽培方法が確立した

宇治茶を名乗るには条件を満たさなければならない
宇治茶の伝統を守るため、茶葉の産地や製造場所などが厳格に決められている

最後までお読みいただきありがとうございました!

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