書評

【書評】予想どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜|ダン・アリエリー【要約・感想】

こんにちは、ぺんりる(@penpen1191)です。

今回紹介する1冊はこちら

予想どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜

1,000円の服がセールで500円になるよりも、300円のお菓子が無料になるほうがお得に感じるといったように、人間はどんなときでも合理的な行動をするわけではない。

ということを、行動経済学の第一人者であり、デューク大学教授のダン・アリエリー(Dan Ariely)が自らが行った数々の実験結果を元に分かりやすく解説しています。

《本書で学んだ3つのポイント》

・『無料』という言葉には人を惹きつける魔力がある

・自分で締め切りを決めることの重要性

・プラセボ(暗示)の力を活用する

予想どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜

予想どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜Amazonの内容抜粋

行動経済学ブームに火をつけたベストセラー!
「現金は盗まないが鉛筆なら平気で失敬する」「頼まれごとならがんばるが安い報酬ではやる気が失せる」「同じプラセボ薬でも高額なほうが効く」――。
人間は、どこまでも滑稽で「不合理」。
でも、そんな人間の行動を「予想」することができれば、長続きしなかったダイエットに成功するかもしれないし、次なる大ヒット商品を生み出せるかもしれない!
行動経済学ブームに火をつけたベストセラーの文庫化。

□主な内容
第1章 相対性の真相
第2章 需要と供給の誤謬
第3章 ゼロコストのコスト
第4章 社会規範のコスト
第5章 無料のクッキーの力
第6章 性的興奮の影響
第7章 先延ばしの問題と自制心
第8章 高価な所有意識
第9章 扉をあけておく
第10章 予測の効果
第11章 価格の力
第12章 不信の輪
第13章 わたしたちの品性について その1
第14章 わたしたちの品性について その2
第15章 ビールと無料のランチ

出典:Amazonの内容紹介

著者は行動経済学の第一人者であり、デューク大学教授のダン・アリエリー氏。

本書では、行動経済学という学問を難しい言葉や専門用語をなるべく使わずに、なぜ人間は合理的でないと解っていても、予想通りに不合理な行動をとってしまうのかということを詳しく解説しています。

予想どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜

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『無料』という言葉には人を惹きつける魔力がある

こちらの料理を頼むとドリンク1杯無料サービスです!
本日は牛丼1杯無料の日!

皆さんもこのような広告に心が躍った経験はないでしょうか。

“無料”という言葉は私たちの生活の中でも広く使われています。

そして、無料のドリンクをもらうために、さほど頼みたくない料理を頼んだり、無料の牛丼を食べるために何時間も並ぶといったように、後で冷静に考えてみると決して合理的ではない行動をとります。

ぺんりる
ぺんりる
無料と聞くとつい…

“無料”には以下のような力があるとされています。

・無料になると需要が急増する
・無料には利己心を抑える効果がある

では、なぜこのような力があるのかについてを掘り下げていきます。

無料になると需要が急増する

例えば、1,000円の服が500円になるのと、普段は300円で販売されているお菓子が無料になるのとでは、1,000円のものが500円になっている前者のほうがお得です。

しかし、いざ自分に置き換えて考えてみると、この例では不合理と理解しつつも私たちは無料のお菓子を選んでしまうということがアリエリー教授の実験結果からも分かっています。

値段が安くなると、それに比例して欲しがる人が増える(経済学でいう需要)ことは予想がつきます。

そして無料となった瞬間、それまでの合理的な考えを捨て、”無料”という言葉に身を任せてしまいます。

昔から『タダより高いものは無い』と言いますが、無料という言葉の裏にあるコストに注意深くなっておけば、余計な出費(コスト)を抑えることに繋がります。

無料には利己心を抑える効果がある

”無料”は悪いことばかりではありません。

”無料”によって需要は急増しますが、代わりに誰もが持っている、自分の利益を大きくしたいという”利己心”を抑える効果があることも実験から分かっています。

例えば、1個30円のチョコを10円で個数制限なしで販売した場合、多くの人が複数(または大量)のチョコを買っていきます。

しかし、これを無料にした瞬間、前者と同じように個数制限は設けていないのに人々はチョコを1つだけしか持っていかなくなりました。

私たちはお金を支払っている場合、心のどこかでそれを大義名分にしてしまうことがありますが、”無料”という言葉にはこうした潜在的な利己心を抑える不思議な力があります。

予想どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜

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自分で締め切りを決めることの重要性

夏休みの宿題を8月の終わりに慌てて取り組んだ経験をお持ちの方は多いと思います。

この場合、夏休みが終わる日をあらかじめ知っていて、宿題の締め切りがいつまでなのかも分かっているのになぜかギリギリになってしまいます。

ぺんりる
ぺんりる
せっかくの夏休み、遊ばにゃ損損!

また、老後の生活資金として貯めていたお金を一時的な浪費に使ってしまったり、病院の定期検診の予約をしていたけど行くのが面倒になってやめてしまうなど、その時の衝動によって長期的な目標から外れてしまうことは多くあります。

アリエリー教授は、3つのグループにそれぞれ同じレポート課題を複数出し、各グループの提出期限を変えて、どのグループが1番成績が良かったのかを実験しました。

1つは複数のレポートの提出期限の最終期限だけを定め、細かい提出期限を設けないグループ。2つめは課題の提出期限を自分で決めそれを公言させるグループ。3つめは複数のレポート課題の提出期限を教授が全て細かく決めたグループです。

実験の結果、成績が1番良かったのは提出期限を細かく決めたグループで、次に提出期限を自分で決め公言したグループ、最も成績が悪かったのは最終期限以外の提出期限を定めなかったグループでした。

私たちは学校に通っているときは、締め切りを先生のような自分以外の他の人から決められることがほとんどです。

しかし、老後資金の貯蓄や病院の定期検診など、自分の裁量で選べるときは面倒なことや複雑なことは先延ばししがちです。

この問題を解決するためには、課題の提出期限を決めた生徒たちのように、自ら期限を公言することが重要です。

友達や同僚に今自分が取り組んでいることや将来の目標を話すなどして、自ら締め切りに期限を設けていきましょう。

予想どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜

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プラセボ(暗示)の力を活用する

「プラセボ」は「わたしが喜ばせよう」というラテン語から来ています。

14世紀にはお葬式で亡くなった方のために、涙を流す役として雇われた泣き屋を指す言葉として使われました。
そして、1785年には『新医学事典』に登場し、瑣末(さまつ)な医療行為のひとつとしても加えられました。

その昔、ヨーロッパの国王の身には神聖の光が染み込んでいるとして、病気を患っている人に国王が触れることで、病気が立ちどころに治る「王のひと触れ(ロイヤル・タッチ)」もプラセボ効果の一種とされています。

「病は気から」ということわざの通り、プラセボは思い込みの力ともいえます。

ぺんりる
ぺんりる
末期の患者さんが完治した話しなども良く聞きますよね

このため、本当は効果がない栄養ドリンクや薬なのにも関わらず、飲むことで症状がよくなると本人が思い込むことで症状が改善するケースもあるため、プラセボはある種の詐欺のようなマイナスイメージもあります。

反面、プラセボには思い込むことで将来の自己実現につながっていくプラスの効果もあります。

自分の願いを声に出して言うことで、自分自身にプラセボの暗示をかけてみましょう。

予想どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜

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まとめ|予想どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜

本書のポイントをまとめます。

《本書で学んだ3つのポイント》

・『無料』という言葉には人を惹きつける魔力がある
 ・無料にひそむ隠れたコストに気をつける

・自分で締め切りを決めることの重要性
 ・人間は面倒なことは先延ばしするクセがある

・プラセボ(暗示)の力を活用する
 ・成功することを自己暗示する

最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!

予想どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜

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