書評

【書評】優しい死神の飼い方|知念 実希人【ネタバレ有り・感想】

こんにちは、ぺんりる(@penpen1191)です。

今回紹介する1冊はこちら

優しい死神の飼い方

この小説は”死神”というキーワードとは裏腹に、ゴールデンレトリバーが活躍する大変心温まるストーリーとなっておりますので、感動するストーリーが好きな方やワンちゃんが好きな方にぜひオススメしたい一冊です。

あらすじ

主人公の死神は、その日もいつも通りの”仕事”をこなしていた。

死神の仕事とは、亡くなった者の魂を”我が主様”に送り届けることである。

死神は命を奪うというイメージを持つ者も居るが、私(死神)はそんな野蛮なことはしない。

ある日、死神は上司に呼び出された。
どうやら最近、日本という国で亡くなった者の魂が”地縛霊化”してしまうことが多くなっているらしい。
地縛霊となった魂は地上を離れることがなく、我が主様に送り届けることができない。

地縛霊となることを防ぐためには、その者が生きているうちに未練から解き放ってやらなければならない。

死神は上司に、その者が生きているうちに接触しなければ地縛霊化を防ぐことはできないことを伝えた。すると上司は驚くべきことを口にした。

それなら、君にその役目を任せよう

かくして死神は、ある緩和病棟の前にゴールデンレトリバーの姿となって現れた。
人間たちをこれまでの未練から解放するために。

優しい死神の飼い方

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主な登場人物

レオ(死神)

人間の地縛霊化を防ぐため、地上に遣わされた死神。

人間たちの生活に溶け込むよう、ゴールデンレトリバーの姿をしている。

我が主様によって冬山に夏毛で召喚されてしまう苦労人(死神)

シュークリームが大好き。

朝比奈菜穂

レオが遣わされた緩和病棟の看護師。

地上に召喚されたばかりのレオを迷い犬として保護し、以降エサや散歩といった身の回りの世話をする。

普段は温厚で心優しいが、芯が強く時には頑固な一面も。

優しい死神の飼い方

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緩和病棟の患者さんたちのお悩み解決

死神であるレオは、緩和病棟に入院している余命の短い患者さんたちの悩みを解決するのが仕事です。

普段は病棟のマスコット犬となっていますが、未練の察知や精神への干渉など、死神としての能力もある程度は使えます。

またレオの持つ死神の能力のなかで特に重要なものが”地縛霊となる可能性の高い人間の匂いを嗅ぎ分ける能力”です。
物語の中でレオはその匂いを”甘くどこか腐ったような腐臭”と例えています。

そして緩和病棟からは”4つ”の腐臭が漂っていました。

優しい死神の飼い方

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最初は短編ストーリー、その後1つの重要な謎解きが始まる

物語りの進行は、最初は緩和病棟に入院している患者さん1人1人の未練を解決して、地縛霊化を防いでいく短編ストーリーで進んでいきます。

入院している患者さんは「定年退職した警察官」や「骨肉腫となった若い画家」など出自や未練の内容もバラバラです。

しかし、いずれの患者さんにも1つだけ共通点があります。

それは、現在は緩和病棟となっている館の建物や以前の住人と接点があることです。

優しい死神の飼い方

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終わりに

この小説では、謎解きだけではなく人間の未練を解決していくうちに、人間に興味のなかった死神のレオの心の変化も楽しめます。

寿命は誰にでも訪れるものです。だからこそ、常に自分のやりたいことや為すべきこと考え行動する。
その大切さを強く感じた1冊でした。

優しい死神の飼い方